近年、夜空を彩るドローンショーはイベント演出の新たな形として注目を集めています。
しかし、実際にドローンショーを実施するには、航空法や電波法などの法的制限はもちろん、会場の安全対策や天候への配慮など、さまざまな条件をクリアしてようやく開催できます。
これらの基準を満たさなければ、スムーズな運営は困難であり、来場者やスタッフの安全確保にも支障が出かねません。
そこで本記事では、ドローンショーを成功に導くために押さえておきたい開催条件と、それぞれの注意点について詳しく解説します。
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【本記事でわかること】
・ドローンショーの開催条件について
・天候不良でドローンショーが中止になった場合の費用
・ドローンショーの開催時間に制限は掛けられているのか
・ドローンショーの開催についてよくある質問
▼ドローンショーを徹底解説した動画はこちら▼
ドローンショーの開催にはどのような条件がある？
ドローンショーを安全かつスムーズに実施するには、まず周囲の関係者と事前に条件を擦り合わせ、トラブルを未然に防ぐことが不可欠です。
また、会場ごとのルールや法的な制限・条件を把握し、適正な範囲内で運用を行うことが求められます。
さらに、ドローンは気象条件に大きく左右されるため、天候を見極めたうえで対策を講じる必要があります。
【ドローンショー開催の条件や制限】
・航空法による制限
・電波法による制限
・民法による制限
・開催会場による制限
・天候による制限
それではここから、ドローンショーの開催にはどのような条件・制限があるのかを1つずつ徹底解説します。
航空法による制限
航空法では、ドローンを安全に運用するために以下のような飛行制限が設けられています。
【ドローンショー開催の条件や制限】
・高度150mを超える空域
・人口密集地域（DID地区）
・夜間の飛行
・人との距離が十分に保てない場所
・催し物の会場上空
これらの条件下では原則飛行が禁止されており、実施には個別の許可が必要です。
飛行する際は視認性の確保も大切で、150m以内で操作が行えるよう飛行高度や時間を調整する必要があります。
また、人口が集中するエリアでは接触のリスクも高まるため、事前に地図で確認して適切な場所を選定しましょう。
電波法による制限
ドローンの操縦には無線通信が用いられるため、無線局免許が必要となる場合があります。
特に複数機のドローンを同時に使用するショーでは、使用する周波数や出力、通信方式を正確に把握し、電波法に基づいた運用が重要です。
総務省の公式サイトでは、ドローンに使用可能な無線設備の種類や条件が案内されていますので、事前に確認を行っておきましょう。
民法による制限
民法第207条では「土地の所有権は法令の範囲でその上下に及ぶ」と定められており、他人の敷地上空を無断で飛行することは所有権侵害に該当する恐れがあります。
したがって、ドローンを飛ばす空間の地権者から明確な許可を得ておくことが不可欠です。
飛行ルートの設計時には私有地に侵入しないよう、明確な飛行範囲を設定しましょう。
開催会場による制限
ドローンショーを実施する会場では、安全確保の観点から、観客とドローンとの距離に十分な配慮が必要です。特に観客席から半径50メートル以内のエリアは、接触リスクがあるため立ち入りが制限されます。
ドローンと観客の適正な間隔は150メートルとされており、50メートルでは本来十分な距離とは言えません。
また、航空法によりドローンは150メートル以上の高度で飛行することが禁止されています。さらに、飛行可能なエリアの広さにも制限があり、原則として水平方向に150メートル×100メートル以内での運用が必要です。
離着陸については、トラブルを未然に防ぐため、運営本部付近に30メートル四方の専用スペースを確保し、機体の状態確認や安全確認を行うことが推奨されます。
ドローンは視認性も重要で、観客から確認できる距離感を保つ必要があります。
開催時間に関しては、会場ごとに飛行可能な時間帯が異なる場合があるため、事前に確認し、終了時刻を遵守するようスケジュールを組み立てることが不可欠です。
なお、1日あたりに実施できるショーの回数にも制限が設けられているケースがあるため、複数回の開催を検討している場合は、関係各所の許可を得たうえで実施するようにしてください。
天候による制限
ドローンは天候の影響を受けやすいため、イベント開催前には天気予報の確認が欠かせません。
特にドローンショーの場合、雨天時には機体が濡れてしまい、正常な操作が難しくなる恐れがあります。
また、風速5m/sを超えると、ドローンは飛行の安定性を欠きやすくなり、台風が接近する場合には中止の判断を慎重に下す必要があります。
さらに、気温が極端に低くなると、観客の健康リスクが高まるほか、機材にも悪影響を及ぼす場合があります。
ドローンショーの開催には、気象条件による制限が設けられており、天候が基準を満たさない場合は、無理に実施せず延期または中止を選ぶのが賢明です。
とくに天候が不安定な季節はリスクが大きいため、気候が安定している時期を選ぶことで、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
このように、ドローンショーを成功させるためには、開催時期を慎重に検討し、来場者が安心して楽しめる環境づくりを意識することが大切です。
天候不良でドローンショーが中止になった場合は費用は戻ってくる？
ドローンショーは天候の影響を大きく受けるイベントです。そのため、当日が悪天候の場合は安全を最優先に考え、中止が決定されることがあります。
ただし、イベントの中止であっても、ショーの構成やプログラムの準備にかかった費用は請求される場合があります。
金額やキャンセルポリシーは運営会社ごとに異なりますので、事前に確認しておくことが重要です。
ドローンショー企業によっては、中止判断をした日数でかかる費用が変動する場合があります。
例えば、当日の天候不良による中止の場合、通常実施時の料金の70％が請求されますが、1週間前の中止であれば50％、2か月前の段階での判断なら30％の請求に変動する可能性があります。
つまり、悪天候が予想される場合は、できるだけ早めの決断がコスト面で有利です。
このように、ドローンショーの中止時対応や費用の取り扱いは会社によって大きく異なります。
依頼前には各社の規定や契約条件を十分に確認し、納得したうえで進めることが大切です。
ドローンショーの開催時間は制限が設けられている？
ドローンショーの演出時間を設定する際には、航空法で規定された重量の機体を使用し、その機体がどれほどの時間飛行できるかを事前に把握しておく必要があります。
飛行可能時間を超える内容を組んでしまうと、途中で電力が尽きるおそれがあるため、プラン段階での確認が欠かせません。
たとえば、東京オリンピックの開会式で行われたドローンショーでは、国立競技場周辺にて約10分間の演出が行われました。ドローンはバッテリー駆動のため、飛行時間には明確な制限があり、10分以内にすべての動作を完了させる必要がありました。
実際には、バッテリーの消耗や準備作業の影響により、演出中にドローンが空中にとどまれる時間は8〜9分が限界とされています。
この制限時間の中で、安全かつ効果的な演出を行うには綿密なスケジュール設計が求められます。
また、東京オリンピックのショーでは合計1824機のドローンが使用され、LEDライトを点灯させることで美しい図形や映像を夜空に描き出しました。
これらの演出には当然ながら電力を要し、そのぶんバッテリー消費も増加します。
なお、ドローンの飛行はGPSを利用した自動制御によって行われており、事前に設定された時間と範囲内でのみ稼働する仕組みです。
ドローンショーの開催条件についてよくある質問
ここでは、ドローンショーの開催条件でよくある質問とその回答を紹介します。
ドローンショーを開催するには許可申請が必要ですか？
屋外でドローンショーを実施する場合には、航空法の定めに従い、国土交通省（国土交通大臣）の承認や許可を取得する必要があります。
なお、航空法の改正により、2022年6月20日以降、100g以上の無人航空機については『ドローン情報基盤システム（通称：DIPS）2.0』への登録が義務化されており、登録されていない機体は原則として屋外飛行が禁止されています。
ドローンショーは風速何m/sだと中止になりますか？
一般的に、風速5m/sを超える場合はドローンの飛行が制限されます。
国土交通省のガイドラインでも、5m/s以上の風速下では飛行を控えるべきとされており、ドローンショーも安全上この基準に従って中止または延期となることがあります。
ドローンショーが見える距離はどのくらい？
ショーの見え方は使用するドローンの機体数や会場の状況によって異なりますが、綺麗に鑑賞できる距離としてはおおよそ150mから1km程度が目安です。
ただし、安全確保の観点から、観客とドローンの間には最低でも50m以上の距離を保つ必要があります。
ドローンショー開催まではどのくらい準備期間が必要ですか？
ドローンショーを実施するには、プランニングから許認可申請、機体の設定・テスト飛行まで多くの準備が必要です。
規模にもよりますが、通常は1〜2か月前からの準備が推奨されます。
特に行政との調整や安全対策を行うためには、余裕を持ったスケジュール設計が重要です。
まとめ
本記事では、ドローンショーの開催条件を徹底解説しました。
また、天候不良でドローンショーが中止になった場合に費用の返還はあるのか、ショーの開催時間に制限はあるのかも詳しく紹介しています。
ドローンショーを円滑に開催するためには、複数の法令と実務的な配慮が必要です。
また、イベントが中止となった場合のキャンセル料や、ショー演出時間の上限（通常は8～10分以内）なども、事前に確認しておくべき重要事項です。
これらを総合的に把握したうえで、事前準備を綿密に行うことが、成功するドローンショーの鍵となります。
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