農業において、農薬散布は必要不可欠な作業ですが、農薬の散布には莫大な時間と大変な労力がかかります。
一昔前までは、タンクを担いで人力で農薬を撒いていましたが、ここ最近では産業ヘリを用いることで労力は格段に減りました。
しかし、農薬散布用ヘリは、費用がかかることや騒音が問題になることがあり、場合によっては適切な時期に散布できないということがありました。
しかし、ドローンの躍進によって勢力図は大きく変わることになります。費用も少なく、コンパクトで小回りがきくのでムラもない。音も比較的気にならない。ドローンは、農業業界にとって救世主となり得る存在です。
この記事では、おすすめの農薬散布ドローンや料金相場を紹介します。
また、ドローン農薬散布を利用するメリットなども紹介しているので、関係者の方はぜひ参考にしてください。
【本記事でわかること】
・おすすめの農薬散布用ドローン
・ドローンで農薬散布をするメリット
▼ドローン農薬散布の仕事について詳しく▼
おすすめ農薬散布用ドローン4選
ここでは、おすすめの農薬散布用ドローンをご紹介します。
【おすすめ農薬散布用ドローン】
・DJI AGRAS「MG-1」
・エンルート AC1500
・スカイマティクス X-F1
・ナイルワークス 自動飛行型農薬散布マルチコプター
それではここから、1つずつ紹介・解説していきます。
AGRAS「MG-1」(DJI社)
AGRAS「MG-1」ドローンメーカー最大手であるDJI社から発売されている農薬散布用ドローンです。値段は、180万円前後。約10リットルの農薬や肥料などを搭載することができ、最高時速約20kmでの散布が可能。フライト時間は10~15分程度だが、1フライトで最大1ヘクタールという広い面積に散布が行なえます。これは、地上で人が作業する場合の40〜60倍の速度だということです。
メーカー名 | DJI |
値段 | 180万円前後 |
タンク容量 | 10L |
離陸重量 | 23.5kg |
最大飛行可能時間 | 10~15分程度 |
サイズ | ・1471mm x 1471mm x 482mm (アームを広げた状態、プロペラなし) ・780mm x 780mm x 482mm (アームを折畳んだ状態) |
対角長 | 1520 mm |
最大散布面積 | 1ha |
散布速度 | 時速20km |
自動飛行 | 対応 |
AC1500(enRoute社)
「AC1500」 は、enRoute社から発売されている農薬散布用ドローンです。お値段は220~250万円。大型でパワフルなモーターを搭載し、とことん性能を高めた6本のプロペラから生まれる浮力は力強く、時速15kmも速度で移動して10分間で1haもの広範囲に農薬を散布することができます。バッテリーも大容量で、最大飛行可能時間は15~20分と長い。突然の雨にも対応できる防滴仕様です。
メーカー名 | enRoute |
値段 | 220~250万円 |
タンク容量 | 9L |
離陸重量 | 24.9kg |
最大飛行可能時間 | 15~20分程度 |
サイズ | ローター径 665mm、軸間 1440mm、高さ 703mm |
対角長 | 1440mm |
最大散布面積 | 1ha(10分間) |
散布速度 | 時速15km |
自動飛行 | なし |
X-F1(スカイマティクス社)
「X-F1」は、スカイマティクス社から発売されている農薬散布用ドローンです。価格は320万円と高めですが、このドローンの最大の特徴は1haの農薬散布が約8分間で終了するということです。多くのドローンでは10分~15分程度が散布時間の相場であることを考えると、これは素晴らしい。作業効率を極限まで高めたい人におすすめです。防水仕様にもなており、散布が終わったら水洗いにより農薬を洗い流すことができるなどメンテナンスが容易な点も〇。
メーカー名 | スカイマティクス |
値段 | 320万円 |
タンク容量 | 10L |
離陸重量 | 24.0kg |
最大飛行可能時間 | ペイロード無 最大25分 |
サイズ | 全高:660mm:全幅:1957mm:全長:1957mm |
対角長 | ローター軸間 1534mm |
最大散布面積 | 1.25ha |
散布速度 | 時速20km |
自動飛行 | 対応 |
自動飛行型農薬散布マルチコプター(ナイルワークス社)
「自動飛行型農薬散布マルチコプター」は、ナイルワークス社から発売されている農薬散布用ドローンです。価格は約350万円と値は張るが、年間約100万円でリースも可能です。高性能なカメラを搭載しており、圃場の状況をしっかりと確認することができます。タンク容量は10L、散布速度は最大時速20kmで、散布面積は1haにも及びます。完全自動飛行なので複雑なオペレーションは必要ありません。
メーカー名 | ナイルワークス |
値段 | 約350万円。リースは年間約100万円。 |
タンク容量 | 10L |
離陸重量 | 25.0kg |
最大飛行可能時間 | 20分程度 |
サイズ | 幅1900mm 奥行1400mm 高さ700mm |
対角長 | (データ無し) |
最大散布面積 | 1ha |
散布速度 | 最大時速20km |
自動飛行 | 対応 |
ドローンで農薬散布をする5つのメリット
ここでは、ドローンで農薬散布を行うメリットを紹介します。
【ドローン農薬散布のメリット】
1.農薬散布にかかる大幅な作業負担の軽減
2.農薬散布時間の短縮と効率化ができる
3.安全に農薬散布が行える
4.農作物の品質向上による収益増加
5.【機体購入やレンタル限定】生産管理や害虫管理が行える
それではここから、1つずつメリットを紹介・解説します。
1.農薬散布にかかる大幅な作業負担の軽減
ドローンを活用することで、農薬散布に伴う作業者の負担を大幅に軽減できるメリットがあります。
従来の農薬散布は、農薬で重くなった噴霧器を背負い、広大な農地を歩き回る必要があり、作物を傷つけないよう注意を払う必要がありました。
一方、ドローンによる農薬散布では、作業者は特定の場所から操作するだけで、農地に立ち入ることなく作業を完了できるため体への負担を軽減しながら効率的な農薬散布が可能になりました。
2.農薬散布時間の短縮と効率化ができる
ドローンによる農薬散布を実施することで、農薬散布時間の短縮と効率化が両立するメリットがあります。
従来の農薬散布と比較して、ドローンは時速15km、幅4mの広範囲に散布できるため、作業効率が格段に向上しています。
例えば、手作業や動力噴霧器では1ヘクタールの散布に1.5時間以上かかるところ、ドローンなら30分ほどで完了できます。
さらに、傾斜地や狭い圃場でも容易に作業でき、10アールほどの広さならわずか1分ほどで散布を終えることが可能となっています。
農薬散布用ドローンは、圃場間の移動もスムーズなため、作業時間を大幅に短縮し、生産性向上に大きく貢献します。
3.安全に農薬散布が行える
ドローンによる農薬散布は、作業者の安全性を向上させるメリットがあります。
従来の散布方法では、農薬に近づく必要があり、防護服着用でも農薬に触れたり吸い込んだりするなどのリスクがありました。
一方でドローンは遠隔操作で一定の距離を保てるため、農薬に触れることがないことから、作業者の安全を確保できます。
4.農作物の品質向上による収益増加
ドローンによる精密な農薬散布は、作物の品質向上に繋がり、販売価格の上昇や収益増加が期待できます。
実際にドローンを導入した農家からは、圃場で収穫された米の粘りや食感など、品質向上が報告されている事例もあります。
さらに、病害虫の発生を抑止することで収穫量増加も期待できるため、機体購入費など初期投資の早期回収も行えます。
5.【機体購入やレンタル限定】生産管理や害虫管理が行える
農薬散布にドローンを導入することで、生産管理や害獣管理に役立つ機能を活用できるメリットがあります。
ただし、「生産管理」と「害獣管理」それぞれの用途に適した機能を持つドローンを選ぶことが重要です。
生産管理においては、ドローンの空中撮影機能を活用することで、生育状況のムラ、葉の色、草丈、倒伏などを把握できます。
ドローンの空中撮影機能を活用することで、リアルタイム映像での確認に加え、画像や動画の撮影も可能です。
この一連の作業はセンシングと呼ばれ、病気や害虫の早期発見、被害拡大の防止に役立ちます。
害獣管理では、ドローンを使って農地に害獣が近づいていないか監視できます。
赤外線サーモグラフィーカメラを搭載すれば、夜間の監視も可能になるため、農作物の品質が落ちる心配がありません。
さらに、機種によっては超音波やサーチライトで害獣を威嚇する機能も備えているため、農地の規模によって搭載する機能を選択するようにしましょう。
まとめ
本記事では、おすすめの農薬散布ドローンや料金相場を解説しました。
また、ドローン農薬散布を利用するメリットも紹介しています。
農薬散布用ドローンはどれも一長一短があり、ユニークポイントはそれぞれ異なります。
自分が保有している圃場の状況によって、適切なドローンを比較検討して購入することをおすすめします。
農薬散布用ドローンを選ぶ際は、「安いから」「散布面積が広いから」「散布時間が短いから」と1点だけで決めるのではなく、さまざまな条件を組み合わせてしっかりと考えてから購入するようにしましょう。
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